今一番面白い国はどこでしょう
えとですね、もちろん中国です。
「中国が世界をメチャクチャにする」を読んでみるといろいろ面白いことが書いてあります。
僕が驚いたのは中国の企業のほとんどは未だに国営企業であるってところですね。
数年前に私企業も国営企業と同じ扱いにするって政策を取っていたはずなんですが、
どうも途中で逆戻りしたみたい。
これだけ産業が発達した今となっても中央集権的な政治体制が維持できているんです。
すごいことです。
企業に自治権が与えられないままに大きな発展が起こっている。
歴史的にみてなかなかそんな国はなかったんじゃないか。
国全体が産業(工業)でお金を儲ける方向に全エネルギーを傾けている。
だから公害なんてほっておくし、農薬を規制せず、著作権も保護しない。
そんなことをしてもお金にならないので。
都市にはどんどん人が集まり、行政には雇用を増やすように圧力がかかっている。
一度回りだしたこの歯車は簡単には止まらない。
今この瞬間にも都市に向かって人が集まっている。
そして国家としては、産業のために石油を確保するのに必死です。
アメリカの権力の及ばない国と取引して、なんとか石油を手に入れようとしている。
スーダンの虐殺を行った政権を容認しているのもスーダンの油田のためです。
これは大きな実験です。
この本には「中国がアメリカレベルの生活をすることはできない。なぜなら地球にはそれだけの資源がないから。中国はリサイクルに重点を置いた経済になるしかないだろう」なんて書いてありますけど、
たぶんそうはならないんじゃないか。
それに至る前に資源の取り合いによる原材料費の高騰が発生する。
石油ではすでにそれが起こっていますけど中国が発展を続けていく限り、原料の高騰は続くでしょう。
今後発生する現象をいくつか想像してみます。
・中国国内で公害に耐えられなくなった人々がなんらかの運動を起こす
・世界的に食物の価格が上がり、貧しい国での餓死者が増加
・中国の成長率が減速する瞬間が来て、世界経済に致命的な打撃を与える
・リサイクルの技術の効率が向上、すべての素材のリサイクルの義務付けが制度化
・代替燃料への転換が加速
・農業の価値の上昇、荒地を農地に変換する技術の向上
・中国以外の国の工業国としての価値の下落
・公害を防ぐ技術や商品が洗練され、中国に輸出される
当面、もっとも恐ろしいのは中国の成長率が減速する瞬間です。
これは世界経済が今までに経験したことのないような恐ろしい株価暴落を招く可能性がある。
中国で都市に人が流入する速度が低下したなら、*1もう危機は始まっています。
まだ数年は大丈夫だとは思いますが、中国国内での末端企業の人件費が上がり始めたら
持っている株がどんな株であれ、念のために現金化しておいたほうがいいかもしれませんね。
- 作者: ジェームズ・キング,栗原百代
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2006/09/28
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 30回
- この商品を含むブログ (14件) を見る
*1:この本では2050年に現在の先進国並みの全人口のうちの70%が都市に住む状況が実現すると書いてあります