簡単な宗教の作り方

世界の多くの人々が神を信じている。これはゆがんだ状況であり、いいこともあるが問題も発生している。特に「ある程度の経済力」がある国では、信教には利点よりも損失のほうが大きいのではないか。
というわけで、「神が存在しない」ということを言うための装置について考えてみる。えー、神を作った人がどういう風に神を作るかってところを見せてあげれば納得するでしょう。マジックのネタ晴らしと一緒です。神の作り方をわかりやすく見せてあげればいいのです。では簡単な宗教の作り方を考えてみましょう。

          • -

まずは「どういう場合に神が必要とされるのか」を考えましょう。

  1. 個人の自制心が少なく、暴力で問題を解決しようとする風潮がある(犯罪発生率を下げる必要がある)
  2. 社会全体が貧しく、貧者を救済するシステムがない
  3. 社会から阻害されている集団がおり、なんらかの団結のための指針が必要

それを解決するために、「神というフィクション」を作るわけですが、権威付けをするための「神話」が必要です。海を割るとか、生き返るとか、特定の物質を別の物質に変える(水をワインに)とかですね。まあこのへんは何でもよくて、「普通の人に簡単にできること」でなければまあいいでしょう。「神が世界を作った」とかはまあ基本ですね。あまり嘘っぽいものとか、検証可能なものはダメですよ。すぐにばれちゃいますから。

次に預言者が必要です。まあ神のアイデアを考えた本人でいいんですけど、この人が「神の言葉」を聞いたことにする。他の人にはなぜか「神の言葉」は聞こえません。「なぜなら預言者は神に選ばれたのだから」といってごまかします。

でー、これらの準備をちゃんとやって神を作ります。身近な人から勧誘しましょう。最初はなるべく頭が悪く、貧しい人でないとダメでしょうね。頭がいい人だと見破られてしまいますし、お金持ちの人は宗教に入る理由が少ないのです。単に寂しい人とかちょい悪の犯罪者でもいいです。なんでもいいから集団に所属してないと安心しない人とかは最高です。人間は群れたがる生き物ですからね。独身男性なんかもいいかなあ。とにかく小さな集団を作りましょう。その中の人は全員「自分の作った神を信じてる」ってことにしときます。

ある程度集団が大きくなったら、信者を自分で集めるのではなく、他の人にやらせるようにしましょう。で、お布施を集めるようにする。ねずみ講方式で、上位の人が儲かるようにしておくと短期的には資本を集めることができます。みんなお金がほしいので、別に神を信じてなくてもこの時期にはどんどん人が増える。

ただし、この方式はいつか破綻がくるので危険かもしれません。お金や精神的問題で困っている人を一人ずつ篭絡していくほうが着実かも。あまり組織が大きくなりすぎると当局や、他の宗教集団から目をつけられることになります。とても攻撃をかわせないと思ったら潔く殉教しましょう。殉教すると、普通に老衰で死んだときよりも劇的な出来事を歴史に加えることができます。感動的な出来事は新たに信者を増やすときなどに有効なので、ぜひお勧めです。

で、当然ですが、この方式で作った宗教は長持ちしません。時間が経つにつれて経典の内容は古くなっていきます。時代にそぐわなくなってくる。まあ、その場合でも「原理主義」とか言いながら古くなった規範をごり押しするのがいいでしょう。なにしろ、神は一人しかいないし、神の言うことは絶対ですからね。

          • -

どうでしょうか。あー、でもこれを映画化するときには面白おかしくなりすぎないようにしないといけないですね。あくまでも最初に宗教をやり始める人はシリアスでないとダメです。「神の声を聞いた」って本人が思っている人じゃないとね。ちょっと普通の人とは違う感じの人じゃないと預言者には適任じゃない。あとは責任感の強い人かなあ。「オレってちょっとおかしいのかも」って思ってもすでに自分が言っちゃったことだからってどんどん布教するようなタイプじゃないとダメです。宗教を「社会をよくするための武器だ」ってどこかで思っているような人かもしれない。説得力を増すためにも、この映画はシリアスでないといけないです。ただし国によっては上映は命がけかもしれません。誰か作りませんか?