新しい結婚の誓い

自分は結婚したことないのでよくわかっていなかったのだが、結婚というのはどうも契約であるらしい。「二人の人間がただ一緒に住む」というだけの宣言ではないのだ。

お互いに得るものがあるから行う。つまり、損得を抜きにして語ることはできない。「結婚は幸せである」とか「みんながするもの」という幻想で物事を進めていくと、現実的な物事に足を取られることになる。浮気やDVといったトラブルが発生したときに初めて自分がしていた契約に気がつくのだ。損失が発生すると「しているつもりのなかった契約のために」違約金を取られたりする。

実質は契約書の存在しない「暗黙の契約」になっている。どんな商取引でもそうだが、口約束による契約ほどトラブルの種となるものはない。状況は変化するし、人間の心は変わる。結婚をする上で「してはならないこと」、「してもいいこと」は文書によって明確に規定されているべきだ。その内容を厳密に作成するとカップルごとに違うものになるかもしれないが。
まあ人生においては何についても言えることだが、「その行動をすることによってなにが得られて、その代償に自分が何を支払うことになるのか」をよく考える必要がある。契約を明文化することは、そこをもっと認識することにも繋がるだろう。

結婚は契約である」ことについて関係者全員の間で共通認識を作らないといけない。結婚式のときには契約条項を読み上げるべきだ。もちろんお祝いムードに水をさすことにはなるとは思うのだが、結婚式というのは「契約のお披露目」であり、契約の条項なしには語ることはできないと思うのだ。会社の合併のときに合併条件が語られないはずはない。契約内容が明白であれば、結婚に対する幻想や誤解も減るのではないか。

もちろん結婚自体のハードルが少し高まることで当面は成婚数が若干減少する危険はある。だが結婚から曖昧さや危険が少なくなることで、プレイヤーの安全性は高くなり結婚というシステムそのもののクオリティが向上する。離婚率の減少にも繋がるだろう。長期的には関係者全員にとって利益があると思われる。

仮に下記のようであればどうだろうか。

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2010年4月より施行される「新結婚法」で、結婚時には下記の文面を作成し結婚式で読み上げることが義務付けられる。

1、配偶者以外の異性とセックスしてはならない
  特に継続的に配偶者以外の異性とセックスするのは禁止
2、基本的に一つの住居に住むものとする。転勤などの特段の事情なく長期間の別居を行わない
3、収入の分割方式や金銭の取引についてはお互いによく話し合って納得すること
4、犯罪に手を染めないこと
5、暴力を振るわないこと
6、配偶者の所持物を無断で破損したり、売却、破棄しないこと
7、子供を育てる場合は健康状態や精神状態に留意し、教育を受けられるように努力する

どれかの条項に違反した場合は、片方の意思のみで結婚を破棄できる。離婚の場合に話し合いで解決できず、どちらかに不満が残る場合には、法廷の判断を仰ぐ。両者は法廷の決定に従うこと。この文面の内容は両者の同意の下に部分的に改変可能である。

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