自殺を減少させるには

長時間労働解消、うつ病ケアを…政府の自殺対策検討会
という記事があったので、検討会のサイトを見てみた。

自殺総合対策の在り方検討会のログ
を見てみるとずいぶん論点が拡散している。

エクセルの表にして何ページ分もある。内容を全部読むだけでも大変だ。
こういう対策を全部取ることができるほど予算が潤沢で、人的資源が割り当てられているとは思えないんだけど…。
何千億円も予算が割り当たっているわけではないだろう。

こんなぽつんぽつんとした案を出したところで何かがうまくいくんだろうか?

検討会に出されている資料の一つわが国の自殺の現状を見てわかることがある。

1、圧倒的に多いのは60歳前後や85歳以上の高齢者
2、無職であること
3、自殺企図者中75%の人に精神的疾患がある
4、精神的疾患のある人の中で四分の三の人が精神科を受診したことがない

つまり、この条件に合致する人に対してうまくケアすることができれば、
自殺者の総数を一気に減らすことが可能。

このプロファイルに相当する人たちに労力を集中するべきだ。
特に注意するべきなのは「精神科を受診したことがない」という項目だ。

つまり、「自分が精神を病んでいる」ということに気がつかない、
もしくは精神を病んでいても精神科を受診しないのだ。

ここを改善するだけでも上記に該当する自殺者を半減させることができるのではないか。

たぶん85歳以上の高齢者は病気などの原因で自殺することが多いだろうが、
60歳前後では病気が原因ではない。

それは定年退職による「燃え尽き」なのだろう。
肉体的な疾病と違って一時的な「燃え尽き」であるなら、そこは乗り越えることができる。
つまりきちんと精神科にかかれば生き延びることができる可能性が高いのだ。

自殺者を減らすためにしないといけないことは、
60歳前後の人に自分の精神面のチェックを行うように呼びかけること、
そしてもっとも重要なのは「精神科医に対する抵抗の払拭」だ。

政府主導で精神科医のドラマを作ってもいいかもしれない。
もちろん精神科医はヨンさまやキムタクあたりのおば様方に人気のある俳優を使う。
朝の連続テレビ小説で取り上げるとか。
学校を舞台にしたドラマには必ずスクールカウンセラーを登場させることを義務付けるとかでもいい。
とにかく精神科というものが特殊ではなく、誰にでも必要なもので、
どういう状態になったら診察に行くべきかを徹底的に周知させる必要があると思う。

また精神科医のほうでも受け入れることのできる体制を作るべきだ。
うつ病に対して単に薬を出すだけではなく、十分なカウンセリングを行うことを前提とするべきだ。
薬だけでは十分ではないと考える。
数年程度の長期間に渡るカウンセリングができる組織になっていることが望ましい。
実務者が不足することになるとは思うので、育成を行うことはもちろん必要だ。*1

今提言されているようなバラバラな対策ではなく、目的をしぼった対策を行うほうがいい。
もっとも効果が大きいであろういくつかの実現案に集中するべきだ。
そうでないと成功しないんじゃないか?
いいことを目的とした活動なのだから世の中の注目を得たほうがいいに決まっている。
そのためにもダイナミックさや対策の緊密さはあったほうがいい。
手段に全力を注ぎ込むことができれば自殺者のうちのいくらかは救うことができるのではないか。
少なくともそう思える対策であってほしい。

*1:というか日本のカウンセリングの現状はお寒い限りで、大局的にはもっともっと力を入れていかないといけない分野なんです。心理療法そのものをもっと整備していくことで自殺防止の効果があるかもしれない