何のためにサービスを作るのか

今日、昼飯のときに会社の人と話していて、
何のためにサービスを作るのか、という話になった。

どんなサービスを作ればいいのか、を最初に話していたんだけど、
僕は「既存のサービスの悪いところを修正したものをリリースすればいい」と言った。
そうするのが簡単だから。

例えばmixiは非常に不完全なサービスだ。
自分がざっと考えるだけでも改善すべき点が大量にある。

たぶん10年後に今のサービスを見たら「なんて原始的なんだろう」と思うだろう。
mixi以上のサービスを作って提供すればいいじゃないか。

そうすればmixiを使っている人たちが
より便利なサービスをみつけて移動してくるに決まっている。

でも、そのとき話していたPHPプログラマの彼が言うには
「どんなWEBサービスを作ってもすぐにマネられてしまう。
そんなことは自分には利益にならないので意味が無い。お金が儲からないから。」
ということだった。

確かに既存のサービスの問題点を改善したものを作ってリリースしたとしても、
それはすでにあるサービスなのだから、元のサービスにも同じように改善されてしまうのは当然だろう。

でも

意味がないとは思わない。

それは「自分がそのサービス(mixiとか)を改善させた」ということだからだ。

もしもmixiのような数百万人に対して行われているサービスが改善されるのであれば、
それは「世界が改善された」と言うに等しい。

つまり「世界を変える」ことができるのだ。

このブログのタイトルの意味を今日知った。
大規模なサービスのバージョンアップは世界を変えることに等しいのだ。

端的に言うと「自分で既存のサービスを改善したサービスを作れば世界を変えることができる」ということだ。

そしてお金が儲からないわけではない。
技術を提供することでお金を儲けることができるし、なによりそのサイトを作ったことが技術者として
ステータスにならないはずがない。

ここまでが今日の昼の話で、ここからが昼に言えなかったこと。


1、電気を使えるのはなぜか。
PCでWEBサービスを使えることが偉大なんじゃない。電気が使えることがまずすごい。

  • 発電して、給電できることがすごい。
  • 電気を発見したことがすごい。
  • 電気の性質が理解され、コントロールされていることがすごい。
  • 機械が予定通りに動くことがすごい。
  • 電線がすごい。
  • 電柱がすごい。
  • 電気器具が家庭にあることがすごい。
  • いちいちデザインされていることがすごい。
  • サーバーがすごい
  • WEBサーバープログラムがすごい
  • DBがすごい
  • パケット通信がすごい
  • インターネットがすごい
  • TCP/IPとかのプロトコルがすごい
  • ルーターがすごい
  • ファイアウォールがすごい
  • DNSがすごい
  • HTMLがすごい
  • 画像フォーマットがすごい
  • 文字コードがすごい
  • JavaScriptがすごい
  • OSがすごい
  • ブラウザがすごい

という膨大なすごさ、の上にやっとWEBサービスのすごさが存在している。

WEBサービス作成者はあらゆる先人の業績に付け足しを行っているにすぎない。
既存の技術の蓄積がものすごい。

そのとき、付け足しを行っている人間はそのわずかの付け足しから
どの程度の利益を得るべきなのか?

僕がその付け足しを行っている職人なら利益なんてほぼいらない。
生活できる分があればいい。

利益はもうもらってしまっている。
日常生活で電気を使っている。
それだけで十分だ。
先人と同じことをしているだけで、いわば社会的な義務を果たしているだけだ。
気がついた人間がゴミを拾うしかないのと同様に。
それほど大きな権利などはない。
自分のいるポジションがわかればやるべきことが見えてくるということ。
もちろん、それは大きくは報われないかもしれないのだが、
さっきも言ったように報酬はすでにもらってしまっている。

2、特許システムはどうあるべきか。

そうであるとはいえ、最初に思いついて形にした人間になんらかの見返りがあってもよいとは思う。
WEB関係はアイデアの権利関係を明確にすることがたぶん非常に難しい。

だれが最初に考えたアイデアなのかは明確にしにくい。

たぶんそういう理由もあってmixiの強力なフォロワーが現れないのだと思う。
僕がもしもお金をたくさん持っていたら、mixi(なぜか今日はmixiにこだわっている)によく似たサービスを
どんどん作ると思う。

より完全な形を求めて試行錯誤を繰り返す。
世の中にはさまざまな面白いSNSが溢れることになるだろう。

現実世界がそうなっていないのは、フォロワーには利益があまりないからだ。

一般的にある程度大きなシェアを獲得したサービスに対して後発のサービスを開発することに意味があまりないと考えられている。

つまり、進化が止まってしまっているのだ。

この状況はよくない。
mixiなんてぜんぜんぜんぜん不完全なサービスで、いくらでも改善の余地があるのだ。

それがたまたま市場を席巻しているという状況があるがために
後発のサービスが作られないなんて、そんなのは不幸だ。

後発のサービスがどんどん作られるという環境にしなくてはならない。

そのためには、後発のサービスに何らかのインセンティブを与える必要があると思う。

停滞が見られる分野には新しいアイデアを実現するために自動的に金がつぎ込まれるような仕組みが必要ではないか。
特許ではないにせよ、純粋なアイデアに対して資金を提供する、とか。

イデアの次の段階として、より精密な設計書を提出することについても別途、工賃を用意する。

イデアと設計書を作るためだけの人々を大量に雇ってもいい。
それだけをしていても社会的にはたぶんお釣りが来る。
閉塞していると思うのなら、打開のための槌が必要で、その槌は新しいアイデアの実現からしかやってこないと思うのだがどうか。